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民法443条1項について(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)第443条 連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。
この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、過失のある連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
いくつか分からないことがあります。
① 「その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合」には、代物弁済、供託、相殺は含まれると推測しますが、混同や更改は含まれますか?
438条によると混同は弁済とみなすようで、更改も求償はできるようなので含まれるのかなと思うのですが!?
また、免除や時効消滅はどうでしょうか?
② 後段の「過失のある連帯債務者」というのは、過失で事前の通知を忘れた「自己の財産をもって共同の免責を得た連帯債務者」のことですよね?
過失が無くても通知を忘れた場合の扱いは同じではないかと思うのですが、これは通知忘れに過失があったとしても後段の請求はできますよと確認した規定だということでしょうか?
債権者X、連帯債務者A、Bがいて、BはXに対して相殺可能な反対債権を持っているとします。
③ 債権者XがAのみに履行の請求をしました。
Bは請求を受けてはいませんが、請求があったことを知っていたとします。
Aが先に弁済しました。
この場合でも、Aは事前通知を怠ると、求償をBに対抗できないんでしょうか?
また、請求がA、B双方にされていた場合、Aの事前通知は不要になりますか?
④ Aが全額弁済したことで、Bに対してBの負担部分である400万円の求償権を得たとします。
BはXに対して、1000万円の反対債権を持っていたが、Aが事前通知をしなかったので相殺の機会を逸したとします。
BはAからの求償を拒むことができ、本によれば「Bの債権はAに移転する」とあります。
求償権は400万円ですが、1000万円まるまるAに移転するんですよね?
この後始末はどう考えれば良いでしょうか?
よろしくお願いします。
(1)1000万円の連帯債務者がA・B2名であった(負担部分は、Aが600万円・Bが400万円)とします。
(2)その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合」に関して①結果において弁済と同視出来る(現実に何かを出捐をして債務を消滅させる)代物弁済・供託・相殺は、「その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合」に含まれます。
(但し、相殺については、民法443条1項後段の適用があります。
)②債権・債務の混同については、民法438条により、「Bが債権者に弁済をして、債務を消滅させたものとみなす」訳ですから、含まれます。
③更改については、Aが債権者との間で、「A所有の自動車10台の引渡し債務」に更改したとすると、債権は、すべての連帯債務者(A・B)の利益のために消滅します。
〔民法435条〕更改においては、Aが別の債務負担行為をするに過ぎない=Aが「現実の出捐」をする訳ではないけれども、「Aを別の債務を被ったお陰で Bも債務を免れた」のですから、AはBに対しBの負担部分(400万円)を求償出来るとされます。
そうすると、Aのした更改は、民法443条1項前段に関しては 弁済と同視出来ると見るべきであり、「その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合」に含まれると解します。
④免除について、Aが交渉した結果、AもBも、債務免除を受けたという場合に、AがBに対して「お前も、600万円分だけ債務免除を受けたのだから、その全額を(又は受けた利益の負担部分割合〔600万円分×400万円/1000万円=240万円〕相当額を)俺に払え」というのは お門違いであり、Aに求償権自体が無いのだから、443条1項の出番は ありません。
又、Aのみが債務免除を受けると、民法437条により、BもAの負担部分に相当する額(600万円)だけ債務を免れる事になりますが、これで、AがBに対する求償権を取得する事も ありません。
⑤債権消滅時効は、A・Bそれぞれについて、別個に進行します。
(なお、民法434条により、債権者がABどちらかに対して行った「履行の請求」は、他の連帯債務者の時効も中断します。
)Aのみに債権消滅時効が完成した場合は、民法439条により、BもAの負担部分に相当する額(600万円)だけ債務を免れる事になりますが、これで、AがBに対する求償権をする事は ありません。
(2)民法443条1項後段の「『過失』ある連帯債務者」とは、同項前段の「債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に『通知しない』で弁済をした連帯債務者」です。
通常は、「通知しなかった事」=「過失」です。
「不可抗力で(無過失で)通知しなかった」という場合は除くという趣旨だと解釈する事は可能であり、本来Aは単独債務者であったが、Bと債権者の間で重畳的債務引受が行われ(通説・判例はこれを認めています。
)、Aが知らない間に A・Bの連帯債務者になっていたら、Aは(Bが連帯債務者である事を知らないのですから、)Bに通知をする訳が無いし、通知しなかった事を非難出来ません。
(3)「Aが債権者から履行の請求を受けた」事をBが知っていれば、AがBに「自分が債権者から履行の請求を受けた」事を通知する必要は無いとされます。
〔於保不二雄「債権総論」、松坂佐一「民法提要/債権総論」〕又、Aが「債権者から履行の請求を受けないでした弁済」についても、民法443条1項の適用があるとされます。
〔我妻榮「債権総論(民法講義Ⅳ)」(4)Bが1000万円の反対債権を有していた場合、Aから求償請求を受けたBは、その内の負担部分相当額である400万円を自働債権とし、AのBに対する求償債権400万円を受働債権として、相殺してしまえます。
(残余の反対債権600万円は、Bの債権者に対する債権として、Bの元に残ります。
)このようにして、Bが「相殺をもってAに対抗」すると、「AのBに対する求償債権(400万円)」は消滅し、代わりに「Bの債権者に対する反対債権の一部(400万円」がAに移転する(Aの債権者に対する債権者になる)のです。
債権者は、Bに反対債権1000万円を負っていたのが、Aに400万円・Bに600万円負う事になります。

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